社内SEとは、主に企業の情報システム部門に所属し、企業のシステム企画や開発に関わる仕事をする人たちのことを言います。弁護士や公認会計士とは異なり、社内SEは資格がなければ仕事ができない職業ではありません。
社内SEに資格は必要なのか
社内SEとは、主に企業の情報システム部門に所属し、企業のシステム企画や開発に関わる仕事をする人たちのことを言います。弁護士や公認会計士とは異なり、社内SEは資格がなければ仕事ができない職業ではありません。
また、一般に、Sierで働くSEほどITの専門知識が求められるものでもありません。そのため、社内SEに資格は必要ないと考える人もいることでしょう。もちろん、資格を持っているからといって、その仕事に必ず活きるとは言えません。
ですが、社内の情報システム部で働く際、資格の勉強で得た知識が業務で活かされることも少なくありません。社内の昇進基準にIT資格を利用する企業も実際に存在します。
社内SEが持ってると役立つ資格一覧
現状、社内SEが業務上持っていて役立つIT資格というのはあまり多くはありません。というのも、社内SEは業務システムに対する知識を求められることが多く、技術そのものの専門的な知識が要求されることがあまり多くないため、IT系の資格を持っていてもそのスキルを発揮する場があまりないからです。
むしろ、資格よりもコミュニケーション能力やリーダーシップの方が求められることが多いでしょう。例えば、業務を利用するユーザが本当に必要としていることを汲み取ったり、ユーザと外部のベンダーの間に立ってお互いの意見をうまくすり合わせるときに、コミュニケーション能力が必要となってきます。
基本的には、かなりの専門的なITスキルを必要とする資格は、あまりその専門性を発揮できないことが多いです。しかし、業務の役に立つIT資格もあるので、いくつか資格を紹介いたします。
プロジェクトマネージャ試験
一般に社内SEは外部のベンダーと一緒に仕事をして、システム開発を行うことが多いです。そのとき必要となってくるのがプロジェクトマネジメントスキルです。
社内SEは、外部のベンダーの開発の進捗状況を管理し、納期までにシステムがしっかり導入できるようベンダーと調整する必要があります。またこれは、社内でシステム開発をするような企業においても、必要なスキルとなってくるでしょう。ですので、企業の大きさによらず、プロジェクトマネージャの資格を求める企業は多いです。是非とも持っておきたい資格と言えるでしょう。
システム監査技術者試験
システム監査技術者とは、本来は情報システム部門の外部から情報システムを監視し、ITガバナンスの向上やコンプライアンスを確保する人たちのことです。ですが、情報システム部門の内部にシステム監査の知識を有する人がいることは、もちろんITガバナンスやコンプライアンスの向上に繋がります。
ですので、システム監査の知識を持った人材を求める企業は少なくありません。また、システム監査技術士は需要に対し、スキルを有した人が少ないので、取っておいて損のない資格と言えるでしょう。
情報処理安全確保支援士試験(情報セキュリティスペシャリスト)
近年、個人情報の流出などが新聞やニュースで取り上げられることが多いです。セキュリティ対策が不十分ですと企業の価値が下がってしまうため、セキュリティの強化に力を入れている企業は非常に多いです。
情報処理安全確保支援士試験は情報セキュリティスペシャリストの後続となる試験です。昨今のセキュリティの問題の影響を受け、サイバーセキュリティの人材育成を促進するために作られた資格です。ですので、IT業界全般として、セキュリティ知識を持った人材を求めています。
もちろん、社内SEとして働く際も持っておくと活かされる資格と言えるでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験/Cisco系資格
この資格は、社内のネットワークを触るSEが持っておきたい資格といえます。どちらもネットワーク系の資格としてはレベルが高く、評価の高い資格と言えます。
また、仮に資格を持っていなくても、社内のネットワーク管理者であれば、これらの勉強をしておいて損はないでしょう。ネットワークに関する知識が一通り勉強できます。逆に、ネットワークを触ることのない社内SEにとってはあまり必要のない資格でしょう。
基本情報技術者試験/応用情報技術者試験
こちらの資格は持っていてもあまりアピールにはなりませんが、勉強しておいて損のない資格と言えます。これらの資格を勉強すれば、ITに関する基本を一通り理解することができます。また、20代であれば応用情報技術者試験を持っていると評価する企業もあるでしょう。
簿記
簿記はITの資格ではありません。しかし、社内の会計システムを構築する際、簿記の知識を持っていると役に立ちます。もちろん、簿記の資格を持っていなくても業務は行えるのですが、知識を知っているのといないのとでは、業務の理解度も変わってくるでしょう。
また、簿記は社内SEだけでなく、どのような職種でも役に立つ資格と言えます。ですので、是非とも取っておくべき資格と言えるでしょう。また、もし転職の際、アピール材料として使いたいのであれば、2級以上を目指しましょう。
資格を持ってると社内SEへの転職に有利なのか
社内SEといっても企業によって仕事内容が様々なので、資格を持っていることが必ず有利になるとは言えません。たしかに、プロジェクトマネージャ試験やシステム監査技術者試験の資格を評価する企業は多いと思います。
ですが、社内SEとして転職した際、専門的なITスキルが業務にそのまま活きるということは少ないです。したがって、転職の際は資格ではなく、前職での実務経験やコミュニケーション能力などが評価されることが多いです。
また、IT系以外の資格を評価する企業もあります。例えば、簿記(2級以上)や中小企業診断士、TOEICなどです。これらは社内SEというよりかは、むしろどのような職種であっても評価される資格ので、これらの資格を持っていれば、社内SEへの転職の際、評価されることがあります。
社内SEの仕事内容
一口に社内SEといっても、その仕事内容は様々です。ですので、転職する際は、必ずその企業の社内SEの業務内容を確認する必要があります。以下では、一般的に言われている社内SEの仕事内容を挙げます。
大企業の場合の仕事内容
大企業であれば、技術的な業務は子会社や外部のベンダーに任せているケースが多いです。その場合、社内SEは新システムの企画やシステム開発の進捗管理が主な仕事となります。
新システムの企画ですと、まず、ユーザである社員から現システムの不満や苦情をヒアリングします。そして改善方法を考え、それらを反映した新システムを企画します。また、その改善方法が本当にシステムで実現可能なのかも考える必要があります。また、部長クラスの社員ですとITを利用した経営戦略などを考えるのも社内SEの仕事となりうるでしょう。
中小企業の場合の仕事内容
そのため、社内SEはあまり給料が高くなくても、仕事に満足している人が多い職種だと言われています。
社内SEのやりがい
一般的に社内の情報システム部は間接部門であるため、直接的にその企業の利益になることはありません。システムが問題なく動いているときには特に何も言われず、トラブルが発生したとき社員から苦情を言われるということはざらにあります。
社内SEが社内全体から評価されることは多くありません。ですが、ITを利用せず業務を行う企業はいまや存在しません。情報システム部は企業に必ず無くてはならない存在と言えるでしょう。
ですので、人から感謝されることが少なくても、影から人や業務を支えることにやりがいを感じる人が向いている仕事と言えるでしょう。
社内SEの将来性
社内SEは社内のシステムしか触れないため、新しい技術に触れる機会があまり多くはありません。そのため、社内SEはSIerの一般的なSEと比べ専門スキルが身につきにくいと言われています。社内の情報システム部で働く人に専門的な知識がなく、過去には、新システムを導入する際、外部のベンダーに丸投げするということがよくありました。
しかし、外部のベンダーは社内の業務をよく知っているわけではありません。その結果、新システムを導入したものの、業務の効率化に繋がらず、システム開発に失敗するということが多々ありました。
近年ではそういった反省から、これからは社内でもシステムを開発できるように、社内の情報システム部にもっと専門的な知識を持った人材を集めようといった企業が増えてきています。ですので、専門的知識を持った社内SEの需要は今後増えていくものと思われます。
社内SEの志望動機の書き方
マネジメント能力をアピールする
まず、社内SEにリーダーシップやマネジメント能力を求めている企業は多いです。ですから、リーダーシップやマネジメント能力について、志望動機に触れると良いでしょう。前職でプロジェクトマネージャとして働いていた場合は、その経験を書くと良いと思います。
コミュニケーションスキルをアピールする
また、社内SEは社内のユーザと外部のベンダーの間に立って、両者の意見をすり合わせを行います。両者の意見をしっかりと理解し、システムの着地点を定める必要があります。ですので、社内SEはコミュニケーションスキルを求められる事が多いため、そのことを志望動機に含めると良いかと思います。
ITスキルをアピールする
また、もちろんのことですが、社内SEにITの専門知識を求めている企業も数多くあります。そういった企業には、実務経験や資格などで自分のITスキルをアピールしてもいいでしょう。
最後はやる気をアピールする
最後は、求める人物像とは関係ないですが、社内SEの特徴として、社内のシステムを長期的に触れられるメリットがあります。ですので、1つのシステム開発プロジェクトに長期的に携わりたいということを志望動機に書いてもいいかと思います。
社内SEの志望動機の例文
私はこれまで◯◯会社でシステム開発に携わってきました。前職では主に、システムの設計やプログラミングを行っていました。前職では、新しい技術にふれることも多く、仕事は充実していたのですが、初めから終わりまで1つのシステム開発プロジェクトを携わったことはありませんでした。
次第に1つのプロジェクトを丸々担当してみたいという気持ちが強くなってきました。前職で得たIT知識を活かし、御社の社内システムの開発に貢献したいと考えています。社内のシステム開発は、御社の業務を支える重要な仕事ですので、強い責任感を持って仕事に取り組みたいと思います。